楽曲感想(14)「薔薇と太陽」
CDデビュー20周年YEARに突入して3週間あまり。
乙コン円盤が出る前にはこの記事をアップしようと思ってたのに、どうしてこうなった。
まずは、表題曲の「薔薇と太陽」から感想を。すみません。3000字超えです。
カップリングの感想は、またおいおい書きます。
36th Single「薔薇と太陽」
作詞作曲:吉井和哉、編曲:船山基樹
Drums:Toru Hasebe ,Bass:Teppei Kawasaki ,Guitar:Takashi Masuzaki ,Piano:Jun Abe ,Trumpet:Luis Valle & Yuma Takeuchi ,Trombone:Michio Kagiwada ,Tenor Saxophone:Masakuni Takeno ,Strings:Chie Nakajima Strings ,Chorus:Koichi Domoto & Kazuya Yoshii
コーラスは聴けば自明の吉井さんの声、トランペットにTU FUNK ALL STARSでおなじみのルイスさんがいますね。
コレオグラファーもINTERACTIONALでおなじみのYOSHIEさんだし、光一さんと剛さんがそれぞれソロで築いてきた世界が、同じ場にあっても並立することが、こんなところにも表れているようで嬉しいです。
編曲は船山さん。「ジェットコースター・ロマンス」や「フラワー」の編曲でおなじみで、こっちとしてはお帰りなさいな気分だけど、実はジュリーの「勝手にしやがれ」の編曲をされていて70ー80年代の雰囲気にぴったり。
吉井さんリクエストで依頼したそうですが、20周年YEARに突入するいいタイミングでまた船山さんにお願いできて素敵だなあ嬉しいなあと思っています。
共同プロデューサーは堂島孝平さんだし、吉田建さんもMVに参加してくださってるし、派手なイベントとかじゃなくて、こんな風に皆さんが集まってKinKi Kidsの20周年YEARが始まっていくのが嬉しいです。
サウンドは、今時珍しい(KinKi Kidsは多いけど)大所帯のバンド演奏で、ライブ感がある音作りをねらったのかな?と。
専門的なことはわからないけど、ホーンやストリングス、ピアノの音がちょっとよれてるところもそのままにして、無理に綺麗にしてないところが好みです。
あと、初回盤Aを持ってる人にぜひ聴いてほしいのが、Backing Trackの最後、「この星では僕ら 誰の生まれ変わり」の後のブレーク。
歌が入ってるとそんなに長く感じないけど、歌なしで聴くと、どこに連れて行かれるのかドキドキするくらい無音になるのがたまらない。
あと、間奏のあれは、カスタネットかと思ってたけど、ハンドクラップ?
演奏クレジットにないから謎のままだけど、ライブでわかるかな?
メロディーは、耳に残りやすくて、決して難しいメロディーではないのに、雰囲気を出して歌おうとすると難攻不落の砦になるところが吉井節だなと思います。
吉井さんが、KinKi Kidsのこれまでの曲の歌詞のワードを織り込んでくださっているという話ですが、皆さまどれくらい連想しました?
私は今のところこんな感じです。
・「硝子のツノが刺さった」
→「硝子の少年時代の破片が胸へと突き刺さる」(硝子の少年)
・「愛され愛したならそれでいいじゃないVa・Cu・Van」
→「愛されるよりも愛したい真剣(マジ)で」(愛されるよりも愛したい)
・「指先が今夜も吸い込まれてゆく」
→「指先へと愛がふるえてる」(このまま手をつないで)
(ジェロマの「指が照れる」も?)
・「ふたつにわれた愛のかけらよ」
→「愛のかたまり」
・「『永遠』の代わりに」
→「永遠に」
・「捧げた光りは」
→「つよい光りさ」(Family)
・「『答えはどこにあるのか』と探してる」
→「ただひとつだけの道をさがしてる」(Glorious Days~ただ道をさがしてる))
「答えは何処にあるの」(Where is)
吉井さんが意図せずして入っちゃった言葉もあると思うけど、それもまた偶然の一致で楽しい。
薔薇、太陽。
最初は対比的なイメージでとらえてたけど、薔薇と太陽にちなんで、薔薇モチーフのコースターを編んでたら、丸いからってわけじゃないけど(笑)、花の王者である薔薇と、太陽系で絶対的な存在の太陽と、薔薇と太陽が対比されるものではなく、同じものに見えてきました。
一見正反対に見えるけど、根本は同じな2人なのかな、と今では思ってます。
そういう2人、何だか聞いたことありますけど(笑)
青空に咲き、夜空にも咲く。
真っ赤に燃え、儚く散る。
Va Cu Vanで蓋をして時を止めてしまうのに、朝日は昇る。
ワンナイトラブでもあり、逃れられないカルマでもある。
エロスでもあり、死でもある。
突き詰めていけばエロスも死も一旦死んで生まれ変わる点や、自他の境界がなくなる点ではひとつのところにたどりつく。
対比するイメージ、重なり合うイメージ、過去曲からのイメージ、何重にも重なり合うイメージにたゆたう曲。
聴いてると、あっと言う間に曲が終わってエンドレスで聴きたくなるのがまた、輪廻してるようで。
「永遠」の代わりに捧げた光りは
さよならをいうためだけの朝日でも
ここが一番好き。
転調に乗せて、別れをドラマチックに歌う。
永遠を歌っていたKinKi Kidsが、永遠の代わりを歌う。
と、つらつらと書いたけど、幾重にもイメージが膨らんで折り重なって、全く全貌がつかめません。
何年か経った時に、「あ、これってこういうことか」と気づくことがあるんだろうな、と自分の中で熟成されるのを楽しみにしてます。
そんなドラマ性のある歌謡曲を歌えるのは、KinKi Kidsの強みだな。
ついでに映像の感想も。
初回盤A
かっこいい!!
自分史上最強の華麗さ、かっこよさです。
中途半端に2本作るよりも、この方向性、大正解だと思います。
いろいろな流れがあって今の完成形になったとは言え、この映像(牛とマタドール含む)が生み出せる今のKinKi Kidsとスタッフは、良いものを作るために、すごく気合いが入ってて、雰囲気もいいんだろうな、と想像します。
20周年YEARすごい。
しかし、これでMVのハードルがめちゃめちゃ上がったから、「なんねんたっても」がどんな風になるか、ドキドキするけど楽しみだな。
初回盤B「牛とマタドール」
うひゃひゃひゃひゃひゃ。
ドキュメンタリ―風にシリアスに語るけどさー、これから何が始まるのかうすうす知ってると、光一さんも剛さんもかっこいいのに爆笑するしかない。
タイトルの文字が、懐かしのNHK教育(Eテレではなく、あえての教育テレビ呼びで)の番組みたいだし。
シュールが溢れてゲシュタルト崩壊して、もうシュールの定義がわからない。
「5×9=63」と同じく、人生でつらいことがあった時に必ず見ます。
笑いは世界を救うのだ。
ジャケット写真も、ブンブブーンで見た時に、この写真を手元に置きたい!と思ったものが、ジャケットとクリアファイルという形で手元にやってきて、大満足です。
ロゴのフォントも、薔薇の赤と太陽の黄色にうっすら染め分けた色遣いも好き。
撮影風景がブンブブーンで映像として残るというファンにはたまらない1枚だし、写真館のKinKi Kidsファンのおばあさまも嬉しいだろうし。
そして、そのきっかけになった斎藤工さんにも大感謝です。
ギャラはたんまり弾んでね。
感謝一色では終わらない、それぞれが色々な思いを胸に20周年YEARを過ごして行くことになった今が、切なくもあり、やり切れない思いもあり、という2016年の8月ですが、この曲があるから、私たちはKinKi KidsのこれまでとこれからをKinKi Kidsと一緒に見ることができるし、今しかない瞬間を大切にしたいと思っています。
ということで締め。